中小製造業のDX10ステップ ステップ1 業務の見える化 付箋ワーク

【モデルケース】プロセスを書き出したら二重作業が発覚 ― 中小製造業50名規模・業務の見える化によるDX推進

本レポートは、中小製造業のDX推進でよくある課題と解決の流れを、HABAねっとの支援経験をもとに再構成したモデルケースです。特定の実在企業の事例ではなく、登場する企業・人物・数値は典型的なパターンを示すために構成したものです。

このような取り組みは、HABAねっとでは「第2段階 体質改善」としてお手伝いしています。→ サービスの詳細

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年約80時間
二重入力による年間の重複工数(稼働日240日で計算)
毎日20分
なくなった転記作業の時間
¥0
追加のシステム投資
1日
設定・移行にかかった期間

01 概要

業種 製造業(金属加工)
想定する企業規模 従業員約50名
所在地 北陸地方
該当する段階 第2段階 体質改善
DX支援の範囲 業務プロセスの見える化・受注管理フローの改善
支援期間 約1ヶ月

本モデルケースは、DX健康診断で「業務の流れが誰にも見えていない」と見立てた企業が、仕事の凸凹を整えにかかる典型的なパターンを描いている。プロセスを書き出す1〜2時間のワークのなかで、長年続いていた受注情報の二重入力が見つかり、すでに使っているGoogleスプレッドシートの使い方を変えるだけで、追加の投資なしに解消できたケースだ。


02 取り組み前の課題

このような企業では、受注から生産指示までの流れが次のようになっていることが多い。

顧客からFAX注文 → 営業CさんがExcelに入力(約20分) → メールで生産管理Bさんへ転送 → BさんがExcelを見ながら別シートに手入力(約20分) → 生産指示
⚠ 毎日、同じ受注情報を2人が別々に入力している。重複分だけで月約6.7時間、年約80時間にのぼる。

この種の課題の根っこは、「誰も気づいていない」ことにある。

営業担当者は「生産管理が使いやすい形に整えて渡すのが自分の役目」と考えている。生産管理担当者は、入社したときに先輩から教わったやり方を続けている。

経営者も、細かい業務の流れまではつかんでいないことが多い。

誰かが怠けているわけではない。全員が「これが正しいやり方だ」と信じて、真面目に仕事を続けている。

問題が表に出ないのは、「全体の流れ」を見渡す機会がこれまでなかったからだ。


03 このケースでのHABAねっとの関わり方

DX健康診断で課題を言葉にした企業から「次に何をすればよいか」という相談が入る場合、業務の書き出しが支援の出発点になる。

診断で「業務の流れが見えていない」ことが分かっているので、流れを書き出すところから手をつけるのが自然だ。

HABAねっとがこのようなケースで大切にしているのは、「ツールを勧める前に、まず現場の業務を一緒に整理する」という進め方だ。ここでも、新しいシステムの導入を前提にせず、「いまの業務の流れを書き出す」ことから始める。


04 取り組みの内容とプロセス

フェーズ1:プロセス書き出しワーク(約2時間)

営業・生産管理・購買のメンバー数名に集まってもらい、「誰が・何を・誰に(どこへ)渡しているか」を付箋に書き出す。一人でまとめるのではなく、何人かで同時に付箋を貼っていくところが大切になる。

こうしたワークでは、始めて40分ほどで、営業担当と生産管理担当の両方が「受注入力」という付箋を貼る、という場面が起きやすい。

二重作業には、コンサルタントが指摘して気づくのではなく、現場のメンバー同士が「え、私もやってます」と気づくのがいちばんだ。

フェーズ2:時間・頻度の計測(1週間)

見つかった作業ごとに、「1回あたりの所要時間」と「週あたりの回数」を1週間だけ測ってもらう。感覚ではなく実際の数を記録することで、「月約6.7時間」「年約80時間」という手間が、はじめて数字として見えてくる。

数字が出ると、社内の話し合いが変わる。「多い気がする」という感覚の話から、「これだけの手間が毎年かかっている」という事実の話に移り、改善への判断が早くなる。

フェーズ3:改善案の設計と移行(1日)

このパターンで特徴的なのは、改善策を出すのがHABAねっとではなく、現場の担当者自身だという点だ。

「じゃあ、どちらかだけ入力すれば済むのでは」という声が現場から出て、今のGoogleスプレッドシートを共有シートとして使うことが、その場で決まることが多い。

営業担当が1つのシートに入力し、生産管理担当はそれをそのまま見る。この形への切り替えは、設定の変更と使い方の説明で、1日もかからないことが多い。新しいシステムの購入も、外部の業者への依頼も要らない。


05 成果

項目 改善前 改善後
受注入力の担当者数 2名(Cさん・Bさん) 1名(Cさんのみ)
1日あたりの入力時間 約40分(2名合計) 約20分(1名のみ)
年間工数(推計・稼働日240日) 約160時間(2名計) 約80時間(1名のみ)
削減工数(年間) ― 約80時間
入力ミス(転記エラー) 月2〜3件(目視確認が必要) 転記に由来するミスはなくなった(参照のみのため)
追加システム投資 ― ¥0

数字に表れる成果のほかに、毎日の転記ミスが減り、その確認の手間もなくなる。

また、現場のメンバーが自分から「これも無駄なのでは?」と考えはじめ、ほかの業務を見直す気持ちも生まれやすい。


06 このモデルケースの示唆

このモデルケースから見えてくるのは、「問題の多くは、見えていないだけで、すでに現場にある」ということだ。

この種の二重作業は、誰かがわざと作ったものではない。習慣として根づき、「入社したときからそうだった」からこそ、誰も疑わない。外から指摘されるのではなく、自分たちで書き出してみて、はじめて全体が見える。

もう一つは、「見えるようになると、解決策は現場から出てくる」ということだ。外から「こうしましょう」と持ち込むより、現場が自分で気づき、自分で考えた改善のほうが、定着しやすい。

「見える化」は、答えを渡すことではない。現場の人が自分で答えを見つけられる状態をつくることだ。


07 今後の展開

受注管理の改善を足がかりに、同じ第2段階の中で、対象を「受注から生産指示まで」の1つの流れに絞ったまま、Google スプレッドシートで運用しながら、たまったデータの活かし方を考えていく。

全社的な基幹システムや在庫管理システムの導入は、こうした小さな改善を積み重ねたあとの選択肢として扱う。先にシステムを決めるのではなく、業務の流れを整えてから必要なものを考える。これがHABAねっとの支援すべてに共通する考え方だ。


08 同じ課題を抱える方へ

「うちにも似たような二重作業があるかもしれない。でも、どこから手をつければいいのか分からない」。そんな声をよくうかがいます。

まずは「誰が・何を・誰に渡しているか」を書き出す、1〜2時間のワークから始められます。システムのことを考えるのは、そのあとで大丈夫です。

HABAねっとでは、業務の書き出しから仕事の凸凹を整える支援を、「第2段階 体質改善」としてお引き受けしています。北陸を拠点に、現場の皆さんの言葉で、一緒に整理していきます。

第2段階 体質改善の詳細 →

素早く、手早く、滑らかに。