このような取り組みは、HABAねっとでは「第2段階 体質改善」としてお手伝いしています。→ サービスの詳細
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01 概要
| 業種 | 製造業(金属プレス加工) |
|---|---|
| 想定する企業規模 | 従業員約40名 |
| 所在地 | 北陸地方 |
| 該当する段階 | 第2段階 体質改善 |
| DX支援の範囲 | バックオフィス(総務・経理)の業務の見直し:会議室予約、体温記録、経費精算 |
| 使った道具 | 社内で使用中のGoogle Workspace(カレンダー・スプレッドシート・フォーム・Gmail・ドライブ)、Google Apps Script |
本モデルケースは、ホワイトボードや紙、手作業の転記で回っていたバックオフィスの仕事を、新しいシステムを入れずに、社内ですでに使っていたGoogle Workspaceの範囲で整えていく典型的なパターンを描いている。流れは「入口を変え、その先をつなぐ」の順である。会議室の予約と体温の記録で入口を変え、経費精算ではフォームの先の手作業をGoogle Apps Script(Google Workspace の中で動く小さなプログラム)でつなぐ。
02 取り組み前の課題
このような企業のバックオフィスでは、総務や経理の担当者が丁寧に仕事を回している。一方で、情報がホワイトボードや紙の上にあるため、見るにも写すにも人の手と足が要る。
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| 会議室の予約がホワイトボード | 会議室と応接室の空きを知るには、事務所まで見に行くか総務に電話する。書き忘れ・消し忘れで予約が重なることがある |
| 体温の記録が紙 | コロナ禍に全員の毎日の体温記録が必要になり、約40名分の記入用紙を総務が毎日一覧に書き写す(約20分) |
| 経費精算の入口の先が手作業 | 申請はフォームで受け付けているが、台帳への転記・承認依頼メール・PDF作成と保存を経理担当者が1件ずつ行う。月約60件で約5時間、月末の数日に集中する |
| 承認状況が追いにくい | 誰の承認待ちかを確かめるには、送ったメールと返信をさかのぼるしかない |
いずれも、担当者の手順に誤りがあるわけではない。情報の置き場所と、道具と道具のあいだのつなぎ方が、人の手に頼る形になっていることが課題である。
03 このケースでのHABAねっとの関わり方
HABAねっとが担うのは、社内ですでに使っているGoogle Workspaceの中で仕組みを用意することだ。会議室予約は総務の様子を見てHABAねっとから提案し、経費精算は経理担当者からの相談に応じた。新しいシステムの導入は前提にしない。
このケースで特徴的なのは、入口の一部を会社が自分たちで変えている点である。経費精算の申請をフォームにしたのは経理の側で、HABAねっとはその先の手作業をつなぐところを受け持つ。
04 取り組みの内容とプロセス
取り組み1:会議室の予約をホワイトボードから移す
Googleカレンダー・Googleスプレッドシート・Googleフォームを組み合わせ、予約と利用状況を共有できる仕組みを用意する。フォームから予約を入れ、記録はスプレッドシートに残り、会議室ごとの予定はカレンダーで誰でも見られる。
基盤のGoogle Workspaceの中で実現できるため、新たに発生する費用はない。工場や外出先からも空き状況を確かめられるようになり、総務への問い合わせの電話も減る。
取り組み2:体温の記録を紙からフォームへ
コロナ禍で必要になった毎日の体温記録を、紙の記入用紙からGoogleフォームに変える。一人ひとりがスマートフォンから送った回答は、そのままスプレッドシートの一覧になり、総務の書き写しがなくなる。
フォームで記録するやり方が社内に広がり、のちに経理が経費精算の申請を自分たちでフォームに切り替えることにもつながる。
取り組み3:経費精算の、フォームの先をつなぐ
経理担当者の「フォームにしたのに、月末は楽にならない」という相談を受け、まず、いまの手順、承認の流れ、ファイルの名前の付け方を聞き取る。そのうえでGoogle Apps Scriptで、フォームが送られたら次の四つが順に進む仕組みを作る。
テストをしたうえで経理の業務に組み込む。経理担当者の作業は、台帳の「状態」の列で承認が止まっていないかを確かめるだけになる。
05 成果
| 項目 | 改善前 | 改善後 |
|---|---|---|
| 会議室の空き状況の確認 | 事務所のホワイトボードを見に行く・総務に電話 | 工場・外出先からカレンダーで確認 |
| 会議室予約の仕組みにかかった新たな費用 | ― | ¥0 |
| 体温記録の書き写し | 毎日約20分 | 0分(回答がそのまま一覧に) |
| 経費精算の事務作業(月あたり) | 約5時間(転記 月約60件) | 約15分(承認が止まっていないかの確認のみ) |
| 承認状況の把握 | 送受信メールをさかのぼって確認 | 台帳の「状態」列で一覧できる |
数字に表れる成果のほかに、仕事の進め方にも変化が出る。経理担当者は空いた時間を月次の締めの準備の前倒しに使い、月末に重なっていた作業がほどける。総務は、体温の記録が必要な時期を過ぎるとフォームの受け付けを止める。記録が簡単になった分を、確認や報告を増やすほうには回していない。
06 このモデルケースの示唆
このモデルケースから見えてくるのは、「バックオフィスの体質は、新しいシステムを入れなくても、入口を変え、その先をつなぐことで変えられる」ということだ。
ホワイトボードや紙で回っている仕事の多くは、すでに社内にあるカレンダーやフォームで入口を変えられる。入口を一度変えると、社内に「フォームでやればいい」という感覚が育ち、次の入口は会社が自分たちで変えていく。
ただし、入口だけがデジタルになっても、その先を人の手がつないでいるうちは楽にならない。つなぐ仕組みを作る前に、担当者の手順・承認の流れ・名前の付け方を聞き取ることで、仕組みが実際の仕事に合う。
もう一つは、記録が取りやすくなったときの扱いだ。要らなくなった記録をやめ、空いた時間を担当者が後回しにしていた仕事に回すことで、忙しさが形を変えて戻ってくるのを防げる。
入口を変え、その先をつなぐ。新しいシステムを入れなくても、バックオフィスの体質は変えられる。
07 今後の展開
このようなケースでは、同じ形の仕事がほかにも見つかることが多い。備品の購入申請や休暇の届け出など、「フォームで受け付けて、台帳に写し、誰かに知らせ、書類にしてしまう」流れを持つ業務には、経費精算と同じ組み立てがそのまま使える。
経費のデータを会計の処理へつなぐことは、業務の流れ全体を見直す次の段階での検討事項になる。
08 同じ課題を抱える方へ
「会議室の予約はいまもホワイトボード」「フォームやスプレッドシートは使っているのに、月末の手間が減らない」。総務・経理の方から、そんな声をよくうかがいます。
新しいシステムを入れる前に、いまお使いの道具で入口を変えられないか、道具と道具のあいだを人の手がつないでいる部分がないかを、一緒に見てみませんか。
HABAねっとでは、こうしたバックオフィスの見直しを「第2段階 体質改善」としてお手伝いしています。北陸を拠点に、担当の方が無理なく使い続けられる形を、一緒に組み立てていきます。
素早く、手早く、滑らかに。
