中小製造業の会議室で付箋を使いながら課題を議論するチームの様子

【モデルケース】DXツール導入の前に必要だったこと ― 中小製造業70名規模・課題の言語化によるDX再起動

本レポートは、中小製造業のDX推進でよくある課題と解決の流れを、HABAねっとの支援経験をもとに再構成したモデルケースです。特定の実在企業の事例ではなく、登場する企業・人物・数値は典型的なパターンを示すために構成したものです。

このような取り組みは、HABAねっとでは「第1段階 DX健康診断」としてお手伝いしています。→ サービスの詳細

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01 | 概要

想定する企業北陸地方の中小製造業(従業員約 70名)
業種機械部品加工(受注生産型)
該当する段階第1段階 DX健康診断(見立て)→ 第2段階 体質改善へ接続
支援期間約 3ヶ月(診断の訪問3回+仕組みの整備 約2ヶ月)
主な成果年間180万円規模のツール導入を、課題が見えるまで保留した。受注情報の入力ルールを統一し、誤った情報が生産指示に流れる経路を減らした。

02 | 課題:ツール選定より前に起きていること

このパターンでは、経営者が展示会などで生産工程スケジューラーのデモを見て「うちに必要なのはこれだ」と感じ、ベンダーとの打ち合わせを始める。年間費用の見積もりは180万円ほどで、話は導入の方向で進んでいく。

しかし、この段階では社内のヒアリングは行われていないことが多い。「何が問題か」「どこに最も滞りがあるか」は、経営層の認識だけで判断されている。

その結果、現場でいちばん切実な課題が見えないまま、ツール選びが進んでしまう。誰かの判断が悪いのではなく、現場の声を集める機会がなかっただけである。

課題認識のズレ(ヒアリングで見えてくる典型例)

立場認識していた課題
社長生産計画が手作業で非効率。スケジューラーを入れれば改善できる
生産管理担当受注情報が間違ったまま生産指示に流れることが頻繁に起きている
製造現場急な仕様変更が口頭で伝わり、記録に残らないまま作業が進むことがある

03 | このケースでのHABAねっとの関わり方

このようなケースでHABAねっとが関わる場合、きっかけは「ツールを入れる前に、一度話を聞いてほしい」という相談であることが多い。ベンダーに発注する前に、外の目で現場の課題を整理しておきたい、という経営者の慎重な判断だ。

HABAねっとが大切にしているのは、「ツールからではなく、課題から考えるDX」という進め方だ。中小製造業にとって、年間100万〜300万円規模のシステム投資は経営に直結する判断になる。だからこそ、「何を解決するのか」を一緒にはっきりさせてから進める。


04 | 支援プロセス:見立ててから、整える

このケースでの支援は、見立て(第1段階)と、整える仕事(第2段階)の二つに分けて進める。

第1段階 DX健康診断(訪問3回)
1回目:経営者へのヒアリングと、現場の目視点検。
2回目:製造部長・生産管理担当・現場リーダーに個別に聞き取る。「一番困っていること」「頻度」「誰の時間が使われているか」の3点を確かめる。
3回目:聞き取った内容を付箋マップにまとめ、立場ごとの課題認識のズレを示す。「影響の大きさ」「現場の負担感」「手をつけやすさ」で優先度をつけ、最初に取り組む課題を1件に絞って報告する。
↓
第2段階 体質改善(約2ヶ月)
スケジューラー導入を保留し、受注情報の入力ルールを統一、Excelシートを作り直す。全員が同じ形式で情報を扱える状態を先に作る。

05 | 成果

年180万円
の導入判断を、課題が見えるまで保留
3つの立場
の課題認識を1枚のマップに
1件
最初に取り組む課題を絞り込んだ
Before(支援前)After(支援後)
課題の共有各階層がバラバラに課題を認識。共通言語なし付箋マップで全員が同じ課題を見て議論できる
受注情報の精度口頭・メモ混在。間違った情報が生産指示に流れる入力フォーマット統一。確認ルールが明文化された
ツール選定課題不明のまま生産スケジューラーを検討中「まず仕組みを整えてからツールを選ぶ」に方針転換

06 | 示唆:課題の言語化を飛ばすコスト

このパターンから見えてくるのは、課題を言葉にしないままツール選びに進むと、解きたかった問題にたどり着けないまま投資が終わるおそれがある、ということだ。

投資判断の前提となる「何を解決するのか」が曖昧なまま進んでしまうことは、思いのほか多い。

逆に言えば、課題を言葉にするのにかかるのは数日から数週間だ。大きな投資をしなくても、「必要なものを正しく選べる」状態は作れる。


07 | その後の展開

このようなケースでは、受注情報の精度が安定してきたところで、改めてスケジューラー導入の検討を再開するのが自然な流れになる。

ここで整えた共通言語と入力ルールが土台となり、業務の流れの見える化や、成果を測る指標づくりへ進む準備が整っていく。


08 | 同じ課題を抱える方へ

「DXを進めたいが、どこから手をつければいいか分からない」。こうしたご相談は少なくありません。多くの中小製造業が、同じところで足を止めています。

ツールを比べる前に、まず「何が問題なのか」を社内で言葉にしてみてください。そこから始めると、進む方向が見えやすくなります。

HABAねっとでは、ヒアリング・付箋マップ・課題の優先順位付けを「第1段階 DX健康診断」としてお引き受けしています。現場の皆さんの言葉から課題を拾い上げ、ツールを選ぶための判断材料を一緒に整えます。

第1段階 DX健康診断の詳細 →

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