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【事例レポート】KPIを四半期ごとに見直し、DX改善ログ32件を蓄積 ― 中小製造業60名規模・継続的改善による自走型DX定着事例

事例概要

業種金属部品の受注製造
従業員数百60名(製造・調達・品質管理・営業)
DX経緯ステップ1~9完走後、改善の停滞を感じて支援継続
支援期間ステップ10導入後 百6ヶ月(観察・伴走)
関与者V社長、Xさん(DX推進担当)、各部署リーダー

01 | 課題の背景

同社はステップ1~9を百1年半かけて完走していた。KPI管理・改善提案カード・DX定例会・外注管理台帳など、一通りの仕組みが整い、V社長は「ようやく完成した」と感じていた。

しかしステップ9完了から3ヶ月後の定期ミーティングで、DX推進担当のXさんから漸念が示された。「改善提案カードに上がる内容が、3ヶ月前と変わっていない。同じ課題が繰り返し出ている」。V社長も「KPIのシートが設定当初のまま更新されていない。実態と合わない指標が残っているが、誰も見直そうとしない」と振り返った。

仕組みが動いているにもかかわらず改善が止まる、という状態の原因は「継続的改善の仕組みがないこと」にあった。DXを「完成させるもの」と捉えていたため、仕組みを更新・進化させる習慣が根づいていなかったのだ。


02 | 導入前の状態(Before)

領域 導入前の状態
KPI管理 設定時のまま更新されず。実態と乖離した指標が複数残存
改善提案 同じ課題が繰り返し上がる。解決済みの課題も再浮上
情報収集 外部事例・新ツール情報を取り込む機会がない
試みの記録 試みた施策の記録なし。過去の失敗が引き継がれない
組織認識 「DXは完了した」という意識が広まり始めていた

03 | 施策の選定理由

ステップ9までで構築した仕組みは「現在の業務を正確に回す」ためのものだ。一方ステップ10では、「仕組み自体を更新し続ける」仕組みを作ることが目的になる。

中小製造業においては、新しいツールや手法を即座に全社導入することは現実的でない。「小さく試して、記録して、四半期ごとに判断する」というサイクルを制度化することが、無理のない継続的改善の実現につながると判断した。


04 | 導入プロセス

時期 実施内容
Month 1 「四半期DXレビュー」の設計・第1回実施。KPI棚卸しと廃止候補の洗い出し
Month 1~2 「DX改善ログ」のフォーマット作成・過去施策の遥及入力(ステップ1~9の試みを整理)
Month 2 定例会に「外部事例共有」3分枠を追加。Xさんが初回を担当
Month 3 第1回四半期レビューでKPI3項目を廃止・2項目を更新。現場から「すっきりした」との声
Month 4~5 外部事例(音声入力による作業記録)をきっかけに製造部門で試験導入開始
Month 6 第2回四半期レビュー実施。改善ログ32件蓄積。試験導入2件が本格運用へ移行

05 | 導入後の成果(After)

廃止・更新されたKPI

4項目

形骸化指標の整理

DX改善ログ蓄積件数

32件

成功18件・中止14件

新規ツール試験導入

2件

外部事例起点での発案

四半期レビュー

制度化

2回実施・継続中

指標 導入前 6ヶ月後
形骸化KPIの整理 0件 4項目廃止・更新
改善試みの記録 なし 32件蓄積
外部起点の新施策 0件 2件試験導入
DXへの組織認識 「完了した」 「まだ続いている」

06 | 得られた示唐

「四半期DXレビュー」で重要なのは「廃止する勇気」だ。追加・拡張だけを議論する場にすると、形骸化した仕組みが積み重なる一方になる。「今も使われているか」「実態に合っているか」を問う場を制度として持つことで、仕組みが生き続ける。

「DX改善ログ」は、失敗の記録を残すことに価値がある。「やめた理由」が記録されていると、同じ失敗の繰り返しを防げる。また、一見失敗に見えた試みが、タイミングを変えて再評価される機会も生まれる。

「外部事例の定期共有」は、内部に改善アイデアが枯渇したときに有効だ。現場の人間が気づきにくい「選択肢の外」を定期的に持ち込むことで、改善の幅が広がる。発表の負担を最小化する(3分・1件・何でもよい)ことが継続のポイントだ。


07 | 今後の展望

同社では、音声入力による作業記録の試験導入を経て、製造現場のデータ収集精度の向上を次の課題として設定している。またDX改善ログが蓄積されたことで、「次に試すべきこと」の候補リストが常に存在している状態になっており、改善が止まりにくい組織構造に近づきつつある。


08 | 同じ課題を持つ方へ

「仕組みは整ったが、改善が止まってきた」「DXが終わった感じがする」という状態は、多くの中小製造業でステップ9前後に起きる。仕組みの「完成」は、新たな停滞の始まりでもある。

ステップ10の3つのアクション(四半期レビュー・改善ログ・外部事例共有)は、いずれもツール不要・低コストで始められる。仕組みを定期的に見直す習慣さえ作れるならば、DXは自走し続ける。

HABAねっとは、北陸を拠点に中小企業・個人事業主のDX伴走支援を行っています。「DXを止めずに進化させたい」という段階からの支援も行っています。

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